【タロットに描かれた恋人たちの物語】
ラバーズ・パスタロットの続きになります
恋人タロットといわれるこのタロットは恋愛にまつわる物語のワンシーンを切り取ってカードに表現しているタロットです。
ストーリーを通して読めるので一枚でも深読みしていくことが可能なカードです。
5番の教皇のカードの説明になります。
(過去のブログに0番からの説明ありです)
Vトラディショントラディショナルカード:教皇
恋人:ロミオとジュリエット
キーワード:構造、適合性、儀式
【物語の背景】
『ロミオとジュリエット』は、イングランドの劇作家ウィリアム・シェイクスピアによる有名な戯曲です1595年前後に初演といわれています。
モンタギュー家の一人息子ロミオは、キャピュレット家の舞踏会に仮面をつけて忍びみますが、この家の一人娘ジュリエットと一目で激しい恋に落ちてしまいます。実は両家は仇敵同士。両家でトラブルを起こすものは殺すというしきたりがありました。
ところが、二人が宿命的な出会いをし、月光の下で永遠の愛を誓い合ったのもつかのま、かなしい破局をむかえる話はあまりにも有名です。
『ロミオとジュリエット』がなぜ時をこえて人々の気持ちを掴むか、それは恋愛悲劇であるという要因が大きいでしょう。それは誰でも心の中に封じ込めた若いころに自分自身が諦めざるを得なかったこと…その思いが恋愛という青春時代の普遍的テーマで描かれたことでより胸に響くからです。若い恋人たちが社会によって課された障壁をはねのけて愛を成就させようとするという事柄はむしろ伝統的な心理を表現した系統ともいえるのでしょう。
ロミオとジュリエットは、自分の星(ホロスコープ)を背負った恋人たちの典型的な例として描かれました。彼らの家族の伝統的なお互いへの憎しみにとらわれて、彼らの愛は悲劇的な結末しかあり得ませんでした。彼らの話は悲しいかもしれませんが、ロミオとジュリエットの愛は彼らの家族を悩ませていた不寛容の伝統に終止符を打ちました。二人の愛は平和と理解の新しい伝統に道を譲ることになったのです。
ロミオ 傷の痛みを知らぬ奴だけが、他人の傷痕を見て嘲笑(あざわら)う。
ジュリエット、二階舞台の窓に現われる。
シッ!なんだろう、あの向うの窓から射して来る光は
あれは東、すればさしずめジュリエット姫は太陽だ。
美しい太陽、さあ昇れ、そして嫉妬深い月を殺してくれ。
月に仕える処女(おとめ)のあなたが、主人よりもはるか美しいそのために、
あの月はもう悲しみに病み、色蒼(いろあお)ざめているのです。……
(第二幕第二場「キャピュレット家の庭園」)中野好夫訳『ロミオとジュリエット』新潮文庫
【意味】
正)確立された社会構造に従う。恋愛関係では、安全のために結婚やその他の正式な構造への欲求。パブリックイメージの認識とそれを制御したいという願望。可能な剛性。
逆)緊張する古い社会構造を捨てる必要性。型破りなアイデアやアプローチ方法への恐れ。不適合。
【比較と深読み】
社会ルールとモラルを教える精神的な導きの役割を果たす法皇
人々のゆるぎのないお手本として普遍的な良心を人に説くことで、
悩みに手を差し伸べるカードです。
ロミオとジュリエットにもその法皇は登場します。
若者の思いだけでは社会はまわらないことを説きます。
が、ロミオとジュリエットの愛は悲哀に終わる結果になりますが、それが社会通念を変える力をもったということが「愛の奇跡」のように伝わります。愛は世界を変えるが、いったんは二人の感情のままに進めないことを示唆してくれるカードのように思えます。
*自らの意志を社会の中で折り合いをつけながら考え進まれて愛を成就させられた真子様の力強さにも通じるものがあるのではないでしょうか。