星からの贈りもの~幸せの大詰め

京都、滋賀で対面占い、十字屋カルチャーでタロット講師をしています

ラヴァーズパスタロット OPPRESSION(抑圧)16番 タワー

【タロットに描かれた恋人たちの物語】
ラバーズ・パスタロットの続きになります

 

恋人タロットといわれるこのタロットは恋愛にまつわる物語のワンシーンを切り取ってカードに表現しているタロットです。

 

ストーリーを通して読めるので

一枚でも深読みしていくことが可能なカード。

16番 oppression(抑圧)のカードの説明になります。

(過去のブログに0番からの説明ありです)

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XVI OPPRESSION(抑圧):タワー

恋人:ディドとエネアス

キーワード:うつ病、困難、解放

【物語の背景】

ディドとエネアス(Dido and Aeneas)』は、ヘンリーパーセルが作曲したオペラで、パーセルの作品中、厳密な意味での唯一の歌劇であるとともに、イギリスのバロックオペラの記念碑的作品ともなっている。

 

 

 

トロイ戦争のころ、カルタゴの女王ディドは浜辺を歩いているときに、トロイの王子エアネスとその兵士を見つけ、目鼻立ちの色気を持つな見知らぬ王子に魅了され、すぐに恋に落ちました。そして、この恋の成就こそがカルタゴ安泰とトロイの再興をもたらす女神の思し召し」と彼女の恋を後押しされ、エアネスもディドを愛し、エアネスはティドに告白し、運命の愛を誓います。それがカルタゴにとっても勢力を増す誓いであることは明らかでした。

 

しかし、ディドカルタゴ支配を不愉快に思う魔法使い、ディドを失脚させるためには偽物の神の使者になりすましてエネアスをトロイ再興のためにすぐにイタリアへ向かうように仕向け、ディドを失意のどん底に突き落とすのだと悪巧みを相談します。

 

彼は、イタリアで新しいトロイを見つけるために旅をするのは神の意志であるとエアネスはディドを振り切り水夫が用意した帆船で旅立ちます。これに、取り乱したディドは、高い塔の頂上に葬儀の火葬場を建て、それに火をつけました。エアネスの船が海に投げ出されると、ディドは失意のなか、塔に登り、火葬場に横になったのです。

 

【意味】

正)状況や感情に圧倒されたり、抑圧されたりしていると感じること。錯乱。より良く変えることができない。人生の新しい段階に移る前の一時停止。

逆)あなたの状況は破壊的に感じるかもしれませんが、隠れた力が働いてる状態。辛抱強く信頼することが必要。物事はまもなく改善されます。

 

【ウエイト版との比較】

 

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ウエイト版タロットの16番は塔(タワー)で、バベルの塔の崩壊を意味し、悲嘆・災難・不名誉・転落という意味があてがわれています。しかし伝統的な解釈ではバベルの塔ではなく「神の家」(キリスト教の教会)といわれています。そして、神の家人の人物が、自らの作り出した強固な自意識の殻に閉じこもっていた状態から、何らかの外的要因によって開放された状態へと移り行く場面を描き表した様子、つまり、神から放出される聖なる力とも解釈されています。

いずれにしても、意図しない劇的な変化を意味するカードなのではないでしょうか。

 

一方、ラヴァーズパスタロットでは、自らディドが火葬場と化した「塔」にのぼり、自分の未来を断つ選択をしています。絶望は冷静な判断を欠き悲劇を招く、という意味合いが強くなっているカードになっています。