【タロットに描かれた恋人たちの物語】
ラバーズ・パスタロットの続きになります
恋人タロットといわれるこのタロットは恋愛にまつわる物語のワンシーンを切り取ってカードに表現しているタロットです。
ストーリーを通して読めるので一枚でも深読みしていくことが可能なカードです。
12番「犠牲」のカードの説明になります。
(過去のブログに0番からの説明ありです)
XII SACRIFICEトラディショナルカード:吊された男
主人公:オルフェウスとエウリュディケー
キーワード:行き詰まり、降伏、忍耐、思いやり
【物語の背景】
オルフェウスは、ギリシャ神話に登場する吟遊詩人であり、古代に隆盛した密儀宗教であるオルぺウス教の始祖とされています。
オルフェウスはアポロの息子で、アポローンより伝授されたともいう竪琴で、森の動物たちばかりでなく木々や岩までも虜にするほど…オルフェウスは自分の歌と竪琴で人間と神々の心をも動かしました。
彼はニンフのエウリュディケーに愛され、その見返りに彼女を大いに愛しました。ところが、エウリュディケーは彼らが結婚した直後に毒蛇の罠で殺されました。取り乱して悲しみに狂ったオルフェウスは、自分の歌で彼女を救うことにしました。
彼は冥界に旅立ちます。そして冥界の王ハーデスと死者の女神であるペルセポネの前に立ち、彼女を助けるまで歌い続けます。心動かされたハーデースは、「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」という条件を付け、エウリュディケーをオルペウスの後ろに従わせて冥界から帰すことにしました。
オルフェウスは決して後ろを見ませんでしたが、目の前に光が見え、冥界からあと少しで抜け出すというところで、不安に駆られたオルペウスは後ろを振り向き、妻の姿を見てしまいます。結局それが最後の別れとなってしまします。妻を失ったオルペウスはほかの女性との愛を絶ち、オルペウス教を広め始めたということです。
【意味】
正)身動きできない。待望の目標を達成するための犠牲。個人的な利益に関係がなくても、他の人のために気を配ること。困難な経験に自ら身を置き思いをえる。
逆)状況に応じて犠牲を払うことができないと感じる。自分自身のための困難と苦しむ
【ウエイト版との比較】
「吊るされた男」は自分の力でどうすることもできない男は、それは自分の美徳であるように、自ら抵抗をやめ状況を受け入れているカードです。
それに比べ、オルフェスのカードは自らが志願して冥界に発ちますが、極限の恐怖と不安のなか、自分の意志ではコントロールできない状況で彼女を失くしてしまったという顛末になります。
12番目は西洋占星術では12ハウスはBad Spirit(悪しき魂)で無意識を司る場所といわれています。まさしくオルフェスは無意識のコントロール不可状態にいたということになるのではないでしょうか