【タロットに描かれた恋人たちの物語】
ラバーズ・パスタロットの続きになります
恋人タロットといわれるこのタロットは恋愛にまつわる物語のワンシーンを切り取ってカードに表現しているタロットです。
ストーリーを通して読めるので一枚でも深読みしていくことが可能なカードです。
11番「正義」のカードの説明になります。
(過去のブログに0番からの説明ありです)
XI JUSTICEトラディショナルカード:ジャスティス
愛好家:ペネロペとオデュッセウス
キーワード:正義、知恵、公平さ、分離
【物語の背景】
ペネロペはギリシャ神話に登場する。ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』ではペーネロペイアと呼ばれます。
オデッセイの妻として貞淑の美女として象徴とされています
ギリシャ神話によると、オデュッセウスがトロイア遠征に加わり地をあけることに。ペーネロペーはイタケーにとどまって留守を守るるが夫からは音信が途絶え、20年も待ち続けたことで有名。
ペネロペは一人で息子テーレマコスを育てていましたが、夫のオデュッセウスがトロイア戦争後に消息不明になったことが知れ渡ると、ペネロペの美しさにひかれた108人の求婚者たちが押しかけ、求婚合戦が始まることに…。ペーネロペーは変装したり隠れたりと心動かず、最後まで夫に対する忠誠を誓います。
ペネロペは様々な言い逃れを企て断り続けるのですが、それもやがてバレて逃げ場を亡く、とうとう王宮にあったオデュッセウスの強弓を引くことができたものと結婚すると宣言してしまいます。
(『オデュッセイア』 によれば、いつまでも求婚者たちから逃げるペーネロペーは断る口実として、死んだ義父の葬儀に着るための喪服が織りあがるまで待ってくれと頼みます。しかしペーネロペーは昼に織った布を夜になると解いていて、いつまでも喪服は出来上がらないようになっていました。)
ところで、この時にオデュッセウスは20年かかってイタケーに帰還しますが、ペーネロペーに言い寄る求婚者たちのことを知ると、彼は魔法でみすぼらしい老人に変装し、求婚者たちに近づいて、そして、最後には自分の手で王宮の強弓を引き正体を現して求婚者たちを撃ち殺した、とされています。
しかし長年の男たちによる乱闘に巻き込まれたペネロペ―は、正体を明かしたオデュッセウスに対し、本当に自分の夫なのか、他の神話にもあるようにこの夫が変装した神である可能性ではないのかと恐れます。そして帰ってきたのが本物のオデュッセウスであるかを確認するためにペネロペーは夫婦のベッドを使い、それがオデュッセウスだと確認したということです。
20年も待ち、忠誠を貫き通した女性ペネロペは
物語のように「正義」のカードの象徴としてふさわしいと思われますね
バチカン美術館所蔵のペネロペの像
ペネロペと名付けられた薔薇は貞淑のイメージのまま可憐なホワイト
【カードの意味】
意味:
正)正義は行われるでしょう。自信を持って忍耐。厄介な状況のときも冷静な視点の必要性。
逆)権威に対する不満。焦り。一時的に我を失う
【ウェイト版との比較】
ウェイト版では貞淑というよりは、物事を公平に公正に判断していく力が必要となるメッセージですね。しかし、ペネロペに難題が持ち上がったときに、冷静にだれからも咎められない知恵をもって対処したところは、この「正義」のカードと通じるところはあるのかもしれませんね