【タロットに描かれた恋人たちの物語】
ラバーズ・パスタロットの続きになります
恋人タロットといわれるこのタロットは恋愛にまつわる物語のワンシーンを切り取ってカードに表現しているタロットです。
ストーリーを通して読めるので一枚でも深読みしていくことが可能なカードです。
10番運命の輪のカードの説明になります。
(過去のブログに0番からの説明ありです)
X FORTUNEトラディショナルカード:ホイールオブフォーチュン
恋人:ダナエとゼウスキーワード:チャンス、運命、拡大、繁栄
【物語の背景】
ギリシャ神話の代表的なお話
アルゴス王アクリシオスは美しい娘ダナエーを得たが世継ぎをもとめ予言を受けると、「息子は生まれないだろうが汝に男の孫が生まれる。汝は孫に殺されるだろう」というものでした。
王は驚いて娘ダナエを青銅の地下室に閉じ込め、男が近づかないようにしました。それにもかかわらず神ゼウスがダナエに目をつけ黄金の雨に姿を変えて愛され関係を持ちました。やがて月満ちて息子ペルセウスを産んだダナエですが、父の手によって母子は箱に閉じ込められて海に流さてしまいます。運よく箱はセリーポス島に漂着し、母子は漁師のディクテュスに救われました。
ところが島の領主でディクテュスの兄のポリュデクテースがダナエーを好きになり、邪魔な息子ペルセウスをそそのかして怪物メドゥーサの退治に出向かせます。とても無理だと思われていたメデゥーサの退治でしたが、ペルセウスは難なくやり遂げ帰還します。
その後、ペルセウスは幾多の戦いを得て強い男に成長しダナエとともにアルゴスに帰国します。しかし、このことを伝え聞いた王アクリシオスはペルセウスを恐れてアルゴスから逃亡し、ペルセウスはアルゴスの王となります。
あるとき、ペルセウスはラーリッサの街で開かれた競技会の円盤投に出場するのですが、このときにペルセウスが投げた円盤が観客席に飛び込み、老人を死なせてしまうのですが、その老人こそアクリシオスで、予言は実現してしまいます。
ゼウスの女好きからまたしても繰り広げられるギリシャ神話の物語。ここからペルセウスを中心に様々な物語への広がりが出てきますが、そのきっかけ、発端になったのが、このダナエとゼウスの密会ということになります。
ゼウスはその時に黄金の雨に姿を変えたと言われていますが、まさにこの場面を切り取ったカードになっています。雨が降るのも運命のタイミングということでしょうか!
*ダナエは西洋画にとりあげられる有名な素材の一つにもなっていますので、絵画で想像していくのも楽しいのでは!
ヤン・ホッサールト作
【意味】
正)前向きな運命。宇宙の寛大さ。豊かに開かれる能力。美しさと愛の意識。
逆)不快な気持ちや偶然の失望した経験。幸運に無視されていると感じる。まだ運命のときではない。—いつあなたの番になりますか?
【比較と深読み】
ウエイト版の運命の輪は車輪がそのときを告げる「時」としてのイメージが強いのですが、こちらのカードは「抗えない運命」という意味合いが強いように感じます。予言があり対策をとったにも関わらず降りかかる運命…しかしそれは吉でも凶でもなく、ただ流れにしたがったともいえるのではなないでしょうか