【タロットに描かれた恋人たちの物語】
ラバーズ・パスタロットの続きになります
恋人タロットといわれるこのタロットは恋愛にまつわる物語のワンシーンを切り取ってカードに表現しているタロットです。
ストーリーを通して読めるので
一枚でも深読みしていくことが可能なカード。
15番 誘惑 のカードの説明になります。
(過去のブログに0番からの説明ありです)
XV TEMPTATIONテンプテーション:悪魔
恋人:パオロとフランチェスカ
キーワード:内なる混乱、執着
【物語の背景】
パオロとプランチェスカの物語――
これは、永遠の地獄を漂い続ける恋人たち、それをじっと見つめるダンテとウェルギリウス…。これはダンテの『神曲』地獄篇の5を典拠とした作品。ダンテは、自分の生きた時代(この事件があったのは1285年で、「神曲」の作中の年は1300年)にあったこの悲劇、地獄編の第五歌 第二の谷の中空には、「不倫などの罪を犯した人間」が地獄の黒い風の中で永遠に吹き散らされる刑罰を受けるのです…
こちらの物語での書籍です
フランチェスカは、政略結婚で、リミニ領主ジョヴァンニ・マラテスタに嫁がせることにしたのだが、ジョヴァンニは、足が不自由で容姿は醜かったので、結婚式は弟の替え玉でしてしまい、結婚式後に真相を知りますが、ジョヴァンニのハンサムな弟パオロと本当に恋に落ちてしまします。
ある時、フランチェスカとパオロは、2人でランスロットとグイネヴィア王妃の物語を読んでいて互いに惹かれ合い、キスをしあいますが、その直後、2人の密会を物陰から盗み見ていたジョヴァンニが、2人の胸を刺し殺害してしまいます。
不貞の罰で地獄におちた二人ですが、「神曲」では、風に乗っていとも軽やかに飛んでいるものの、風に吹かれて永遠に漂う罰を受けた二人の魂はしみじみと泣いているようですが、ある意味純愛です。けれども、ダンテはキリスト教のモラルをを破った罪の重さを、永遠に報われることなく描いたのです…
【カードの意味】
正)誘惑、愛欲、羨望への執着、官能的な欲求、コントロールする必要性
逆)誘惑から解かれる、他人の羨望を体験する、欲望を強さに変える
【ウエイト版との比較】
15番 悪魔のカードは
愛欲の末、囚われの身になり、地獄の悪魔の裁きを受けるように描かれています。
自分の欲望は自分自身を苦しめて、理性の利かない状態になってしまうことを表わしているカードです。
ラヴァーズパスタロットでは、執着や妬みのような、悪魔にみられるような人間の醜い心の様子の象徴は感じられにくくなっています。
二人が風に乗ってさ迷うところは、悲しみに満ち、それでも愛さなければならなかった悲劇の純愛を象徴しているようです。しかしその奥には、掟を破ってしまった罪と、兄ジョバンニの妬みや復讐劇が含まれていることは忘れてはいけないカードなのではないでしょうか