【タロットに描かれた恋人たちの物語】
ラバーズ・パスタロットの続きになります
恋人タロットといわれるこのタロットは恋愛にまつわる物語のワンシーンを切り取ってカードに表現しているタロットです
ストーリーを通して読めるので一枚でも深読みしていくことが可能なカードです
2番は「女教皇」
こちらのタロットでは
WISDOM(ウイズダム)賢いこと、賢明、知恵、分別、賢さ、賢明にもこと、学問、知識、博識 という言葉が与えられています
II WISDOMトラディショナルカード:女教皇
恋人:ShahrazadeとShahriyar
キーワード:知識、教育、悟り、知恵で乗り越える
【カードの舞台】
2番の女教皇を考えるとき。賢明な女性として千夜一夜物語のなかでの「シェヘラザード」を登場させました。
『千夜一夜物語』は、イスラム世界における説話集。英語版の題名より「アラビアンナイト」の名称でも世界的に知られています。シェヘラザードは、『千夜一夜物語』の登場人物で語り手。サーサーン朝(サーサーン朝ペルシャ)のシャフリヤール王(Shahryār)の王妃であり、毎夜、命がけで王に物語を語る才媛で勇気のある女性です。
シャフリヤール王は彼の一番目の妻の不貞を発見した怒りから、処女と結婚しては翌朝には処刑するという愚行を繰り返していました。殺害が続いたとき、大臣の娘のシェヘラザードは王の蛮行をやめさせるために、自ら王との結婚を志願しました。
シェヘラザードは自ら王と一晩を共にすることとなりますが、やがて処刑される身であるため、彼女は最愛の妹ドニアザードへの別れを告げたいと望みます。二人はドニアザードがシェヘラザードに夜の間中話し続けるようせがむことを内密に約束しており、従って、王もおのずと横になってシェヘラザードの最初の話に聞くことになります。けれどもシェヘラザードは夜明けが近づくと話を途中で切ってしまいます。王は話を最後までするように言いますがシェヘラザードは慎み深く、「明日お話しするお話は今宵のものより、もっと心躍りましょう」と王に言い聞かせます。
そして王は新しい話を望んでシェヘラザードを生かし続け、千と一夜の物語を語り終える頃には二人の間にはとうとう子どもが生まれることに。王は自分とシェヘラザードの間に子どもが出来たことを喜び、シェヘラザードを殺さないことと彼女を正妻にすることを誓うという流れになります。
多くの説得力のある物語を語るシェヘラザードの知恵と王の愛と信頼。そうすることで、彼女は自分の命と、王国の仲間の女性の命を救いました。
【意味】
正位置)教育から得られた知恵。本の学習を理解することが救いになる。知恵を使って困難な状況をより良い方向に変えます。
逆位置)学びたくない。表面だけ。知性や教育に脅かされている。知識や理解の欠如によって制限されている。
【比較と深読み】
女教皇のタロットカードで描かれる黒と白それぞれ闇(ボアズ)と光(ヤヒン)の柱とされており、0と1が何も始まっていないカオスの世界だとしたら2で陰陽が極まる太極がはじまると言われています。
思慮深く叡智をそなえ相手を受け入れていく、知性をそなえた究極の完成度の女性ということになる女教皇に対し、シェヘラザードは知恵で乗り越えていく……、まるで「力」のカードが相手を力ずくではなく母性愛で変えていくかのように、ここでは知性の力で状況を好転させるようなシェヘラザードの「賢さ」が描かれたカードになっているといえます。
タイトルは知っていても実際のストーリーは知らないものです。
短時間で秀逸にまとめられている動画です。
4分あたりからシェヘラザードの活躍は語られます。
それにしても浮気をされて女性不審に陥った王が処女を殺す復讐に走るあたりは普遍的な男性のもつ根本心理かもしれないと考えさせられました。